「虫食い」で価値がある加賀友禅
2018年11月13日
本日も沢山のお客様に
ご来店頂きありがとうございます。
昨日までの小春日和とは
うって変わって例年並みの気温に
なって来ました。
金沢きもの花恋の周辺もいっきに紅葉が
すすんでまりました。
金沢の着物といえば「加賀友禅」。
本日は「加賀友禅」のご紹介を
させて頂きます。
「虫食い」で価値上がる加賀友禅
友禅染といえば、
あでやかな加賀友禅よ京友禅の
着物を思い浮かべる人が多いでしょう。
糊(のり)で防染(ぼうせん)して
模様を描き出す友禅染の技法は、
伊原西鶴の「好色一代男」に、
友禅斎(ゆうぜんさい)の
扇(むつぎ)を持たねば
伊達男でないと記された
江戸中期の扇絵師、
宮崎友禅斎が創始者とされ、
その名が由来となっています。
写実的な絵画調が特徴
梅染が起源とされる加賀友禅は
写実的な草花模様を中心とする
絵画調なのし対し、
京友禅は流麗な図案調が
特徴とされます。
↑京友禅
加賀友禅の加賀五彩(かがごさい)と
呼ばれる臙脂(えんじ)・藍(あい)
黄土(おうど)・草・古代紫の
五色を基調とした落ち着きある多彩調と、
京友禅の淡青単彩調を比べても、
その背景にある加賀の武家文化と、
京の公家文化の違いが
透けて見えます。
証になる伝統的な技法
その高価な着物がもし虫食いに遭えば、
誰もが嘆きたくなる一大事です!
ところが、
加賀友禅には「虫食い」で
価値が上がるという不思議な
話があります。
種明かしをすれば、
「虫食い」は写実を特徴とする
加賀友禅の伝統的な技法の
一つなのです。
虫に食われた木の葉の小さな
穴まで描くことで、
柄に現実感を生み出し、
デザインのアクセントとして
美を表現しています。
水にさらして糊(のり)を
洗い落とすと図柄に白い輪郭が
現れる。
「糸目糊置き」(いとめのりおき)や、
色の濃淡を出す「ぼかし染」などとともに、
「虫食い」は加賀友禅の証となる
技法なのです。