1万分の1ミリの金箔は「紙が命」
2018年12月9日
1万分の1ミリの
金箔は「紙が命」
日本産の金箔は
ほぼ全てが金沢で生産されています。
加賀藩では表向きには金箔を
うてなかったものの
ひそかに生産が行われていたようで
江戸末期に公認された頃は
相当な技術をたくわえていました。
明治になり
江戸や京都、幕府に近い新藩などが
行っていた金箔製造が減り
金沢が主産地になったのです。
その後も他産地で金箔が製造
されなかったのは
約1万分の1ミリという薄さに
仕上げる技術が容易にまねできる
ものではなかったからでしょう。
艶やかな半透明に
その極限の薄さを引き出すのが
箔打師と呼ばれる職人たちですが
工程で最も時間をかける作業は
実は金を叩き延ばす作業ではない
ということをご存知でしょうか?
金箔は延び広がる性質を持っていますが
うまく延ばすために欠かせないものが
あります。
それが「箔打紙:はくうちがみ」と
呼ばれる和紙です。
がんぴ:植物
箔打紙は「がんぴ」という植物に
特殊な泥を加えて漉いた和紙に
箔打師が特殊な加工を施して完成します。
その手順は実に独特!
燃やした藁に熱湯をかけて出た
灰汁(あく)や卵の溶液に和紙を
漬けて絞り、半乾き状態で空打ちします。
何度も何度も繰り返すうちに
紙の密度が高まりザラザラした和紙は
やがて半透明のつややかな紙質に
変化します。
これでようやく金を極限の薄さに
延ばすことができるようになるのです。
最後は女性の肌に触れ
繰り返し使い「再生」してまた使い続ける
箔打紙ですが、それでも寿命があります。
「箔打ちに使えなくなった紙は
どうなるの?」
油取り紙です!
箔打ちの盛んな東山は花街でも
あります。
金を挟んで打たれ続けた紙は
髪をなでる鬢付け油の匂いも
香しい(かぐわしい)女性たち
愛されて長い使命の最後を
飾ることになるのです。